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ここ最近、サイバー攻撃のニュースが続いています。その影響で、普段はネットワークの話をまったくされないお客様から、立て続けにお問い合わせをいただくようになりました。「うちは大丈夫なのか」「何をすればいいのか」という、ほぼ同じ内容です。
これまで数年間、この手の相談をいただかなかった会社からも来ています。それだけ報道のされ方が変わってきたということだと思います。ただ、不安だけが先に立ってしまうと、だいたい次のどちらかになります。高い機器やサービスを慌てて買ってしまうか、やることが多すぎて結局何も手がつかないか。どちらも、あまり良い結果になりません。
この記事では、お問い合わせをいただいたときに私が実際にお話ししている内容を、順番どおりに書いておきます。社内で何から手をつけるか決めるときの、たたき台として使ってください。
今、何が起きているのか
報道の件数が増えているのは事実ですが、それ以上に大事なのは中身のほうです。警察庁の集計では、企業や団体からのランサムウェア(データを人質に取る攻撃)の被害報告が過去最多の水準になったと伝えられています。そして侵入の入口として多いのが、社外から社内につなぐための機器の弱点です。メールの添付ファイルを開いてしまった、という昔ながらの経路だけではありません。
ここが、中小企業にとって他人事ではない理由です。社外から会社のデータを見るための仕組みは、今やどの規模の会社にも入っています。そして、その手の機器は入れたあと何年も触られないまま動き続けていることが本当に多い。私が保守でお伺いしている中でも、設置したきり一度も更新していない機器は珍しくありません。
「うちのような小さい会社は狙われない」というお話をよくいただきますが、実際の被害は会社を狙って起きるというより、弱いところが見つかって巻き込まれる形で起きています。相手は会社の規模を見ていません。
手をつける順番
全部を同時にやろうとすると止まります。効果の大きい順に並べると、こうなります。
| 順番 | やること | なぜ先か | 誰がやるか |
|---|---|---|---|
| 1 | バックアップが社内のネットから切り離されているか確認する | 被害に遭ったあと、会社が立て直せるかどうかがここで決まる | 社内で確認できる |
| 2 | 社外から社内につなぐ機器を洗い出し、更新する | 今いちばん狙われている入口だから | 保守業者に依頼 |
| 3 | パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を入れる | 漏れた一つのパスワードで芋づる式に入られるのを止める | 社内で着手できる |
| 4 | WindowsとOfficeの更新を止めない | 公開された弱点は、数日で狙われ始める | 社内で設定変更 |
| 5 | おかしいと思ったときの連絡手順を紙で貼る | 起きてからでは誰も手順を探せない | 社内で作成 |
費用がかかるのは2だけです。1と3と4と5は、今日から社内で着手できます。
1. バックアップを最初に見る理由
順番を間違えないでいただきたいのが、ここです。防ぐ話より先に、やられたあとに戻せるかを確認してください。
私がこれまで立ち会った現場では、バックアップ自体は取ってありました。それでも使えなかった理由は共通しています。バックアップ先が、常に社内のネットワークにつながったままだったからです。つながっているということは、被害に遭ったときに一緒にやられるということです。
確認することは3つだけです。「どこに取っているか」「そこは普段つながりっぱなしか」「最後に戻せることを試したのはいつか」。3つ目に答えられる会社は、ほとんどありません。詳しくはバックアップが「あるのに使えない」3つの型と、実際の現場を書いたお客様先で3回、ランサムウェアの現場に立ち会いましたに書いています。
2. 社外からつなぐ機器は、一覧にするところから
これは保守業者の仕事ですが、依頼する前に会社側で用意しておくと話が早いものがあります。
- 社外から社内のファイルを見られる人が、今何人いるか
- その中に、退職した人のアカウントが残っていないか
- 使っていないのに電源が入ったままの機器やパソコンがないか
3つ目は実際に痛い目を見たことがあります。役目を終えたサーバーの電源を切り忘れて放置していたために、そこを乗っ取られて外部への攻撃に使われていました。自社で起きた話なので、よく覚えています(使っていないサーバーの電源を切り忘れ、自社が攻撃の踏み台にされた話)。使っていない機器は、守る人がいない機器です。
社員の方に先に伝えておくこと
機器の話より、実際に多いのは人のところを突いてくる手口です。ニュースで不安が高まっているときほど増えます。
- 「ウイルスに感染しました」と画面に出て電話番号が表示される → 全部うそです。電話をかけないでください(対処はこちら)
- 取引先や銀行を名乗るメールで、パスワードの確認を求めてくる → 本物はその聞き方をしません(見分け方はこちら)
- おかしいと思ったら、まずLANケーブルを抜く → 電源を切るより先です(理由はこちら)
そして、いちばん効くのはこれです。「やってしまっても怒られない」と全員に伝えておくこと。被害が大きくなるのは、押してしまった人が言い出せずに半日経ってしまうときです。技術の問題ではなく、社内の空気の問題です。
(PR)ウイルス対策ソフトをどう考えるか
「とりあえずセキュリティソフトを入れれば大丈夫ですか」とよく聞かれます。正直にお答えすると、それだけで防げるものではありません。上に書いた1から5のほうが先です。ただ、人の判断ミスを一段階受け止める層としては意味があります。入れるなら、Windowsに最初から入っているものを切らずに、動作の軽いものを選ぶのが現実的です。
なお上記は個人・家庭向けの製品です。会社の業務用パソコンに入れる場合は、台数やライセンスの条件が別になります。必ず法人向けの条件をご確認ください。
まとめ
ニュースを見て不安になったときに、やることはこの順番です。
- バックアップが切り離されているかを最初に確認する(戻せるかどうかがすべて)
- 社外からつなぐ機器を洗い出して、保守業者に更新を依頼する
- パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を入れる
- 更新を止めない
- おかしいと思ったときの連絡手順を紙で貼り、押してしまっても怒らないと伝える
全部を今月中にやる必要はありません。ただ、1番だけは今週のうちに見てください。ここだけは、起きてからでは絶対に間に合いません。
個別の相談先としては、IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口が無料で相談を受け付けています。実際に被害が起きてしまった場合は、警察への相談と並行して、早い段階で保守業者に連絡してください。
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