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「パソコンがウイルスに感染したという画面が消えない。書いてある番号に電話したほうがいいですか?」
こうした連絡を受けることがあります。結論から書くと、その画面は本物ではありません。電話もしないでください。電話をかけさせて金銭をだまし取ろうとする「サポート詐欺」と呼ばれる手口です。
この記事では、実際にあるお客様のパソコンで起きた事例をもとに、画面が消えない理由と、現場で行った対処の手順を書きます。
何が起きたか:再起動しても、また同じ警告が出る
そのお客様のパソコンでは、ブラウザのEdgeを起動するたびに、Windowsのセキュリティ機能であるWindows Defenderを装った警告が画面いっぱいに表示されていました。「セキュリティ侵害の影響を受けたシステム」といった文言とエラーコードらしきものが並び、サポート窓口と称する電話番号への連絡を促す内容です。
やっかいだったのは、パソコンを再起動しても、Edgeを開くとまた同じ画面が出てくることでした。再起動しても直らないと、「本当にパソコンの中に何か入り込んでいるのでは」と不安になります。ここで電話をしてしまう方が多いのは、この「消えない」という状況があるからです。
原因:ブラウザが詐欺のページを毎回開き直していた
調べてみると、パソコンの中にウイルスが入っていたわけではありませんでした。原因は、Edgeの「前回開いていたページを開く」という設定です。
この設定がオンになっていると、Edgeは起動するたびに、前回閉じたときに開いていたページを自動で開き直します。普段は便利な機能ですが、詐欺のページを開いたまま閉じてしまうと、次に起動したときにも詐欺のページが自動で開き直されることになります。再起動しても消えないように見えたのは、このためでした。
詐欺のページ自体は、ブラウザの中で動く仕掛けにすぎません。警告音を鳴らす、画面いっぱいに表示して閉じにくくする、「OK」を押しても次々に同じ表示を出す、といった方法で、見ている人を心理的に追い詰めて電話をかけさせようとします。
| 見えていたこと | 実際に起きていたこと |
|---|---|
| ウイルスに感染したという警告 | ブラウザで開いている詐欺のページの表示 |
| 再起動しても消えない | Edgeが前回のページを自動で開き直していた |
| 警告音が鳴り、画面が閉じられない | ページに仕込まれた、焦らせるための仕掛け |
| サポート窓口の電話番号 | 詐欺グループにつながる番号 |
見分け方:本物の警告は、電話番号を出さない
お客様にいつもお伝えしているのは、次のひとつだけです。
Windowsやウイルス対策ソフトが本当に危険を見つけたとき、ブラウザの画面に電話番号を出して「ここに電話してください」とは言いません。
電話番号が書いてある時点で、その警告は偽物だと判断して構いません。細かい文面や見た目で見分けようとすると、よくできた偽物にだまされます。「電話番号が出たら偽物」と覚えておくのが、いちばん確実です。
現場でやったこと
このときは、次の順番で対処しました。
- Edgeを強制終了する。画面が閉じられないときは、キーボードで Ctrl+Shift+Esc を同時に押してタスクマネージャーを開き、Edgeを選んで終了します
- 起動時の設定を変える。Edgeのアドレス欄に
edge://settings/onStartupと入力して設定画面を開き、「前回開いていたページを開く」を「新しいタブページを開く」に変更します。これで、次に起動したときに詐欺のページが開き直されなくなります - それでも開き直される場合は、前回のページの記録を消す。Edgeが前回開いていたページを覚えている記録ファイルを削除します。場所はEdgeの版によって違うことがあるので、自信がなければ無理に操作せず、保守の担当者に相談してください
- 通知の許可を確認する。
edge://settings/content/notificationsを開き、見覚えのないサイトに「通知の許可」が出ていないか確認し、あれば削除します。詐欺のページで「許可」を押してしまうと、あとから画面の隅に偽の通知が出続けることがあります - 被害がないことを確認する。電話をしていないか、画面の指示で何かを押したりインストールしたりしていないかを、使っていた方に確認します
このお客様の場合は、電話もクリックもインストールもしておらず、被害はありませんでした。設定を変えたあとは、同じ画面は出なくなりました。
電話してしまった、指示に従ってしまった場合
対処の手順の5番目で確認しているのは、次の点です。ひとつでも当てはまる場合は、画面を消すだけでは終わりません。
| 確認すること | 当てはまる場合に起きていること | すぐにやること |
|---|---|---|
| 電話をかけたか | 相手の指示で遠隔操作のソフトを入れさせられている可能性がある | パソコンをネットワークから切り離し、保守の担当者に連絡 |
| 画面の指示でソフトを入れたか | 相手がパソコンを外から操作できる状態になっている可能性がある | 同上。そのパソコンで他のサービスにログインしない |
| クレジットカードや支払いの情報を伝えたか | 不正に請求される可能性がある | カード会社に連絡して止める |
| 「許可」を押したか | 偽の通知が出続ける可能性がある | 手順4の通知の許可を削除 |
パソコンをネットワークから切り離す理由と順番は、「LANケーブルを今すぐ抜いてください」と言う理由に書きました。遠隔操作のソフトを入れられてしまった場合は、特に早めの切り離しが大切です。
だまされたことを恥ずかしく思って、連絡をためらう方もいます。ですが、よくできた詐欺ほど、落ち着いた状態でなければ見抜けません。早く相談してもらえるほど、打てる手は多くなります。社内では「おかしな画面が出たら、触る前にまず連絡」と決めておくと安心です。
同じことを防ぐために
- 「電話番号が出たら偽物」を社内で共有する。パソコンに詳しくない方ほど、この一文だけ覚えておくと効果があります
- おかしな画面が出たら、触らずに連絡する流れを決めておく。誰に連絡するかを、紙に書いてパソコンの近くに貼っておくのも有効です
- ブラウザの起動時の設定を見直す。「前回開いていたページを開く」が必要ない方は、「新しいタブページを開く」にしておくと、万一のときに詐欺のページが開き直されません
(PR)偽サイトを入口で止める対策
サポート詐欺は、見た人をだまして電話させる手口なので、セキュリティソフトを入れていれば必ず防げる、というものではありません。いちばん効くのは、上に書いた「電話番号が出たら偽物」を知っていることです。そのうえで、詐欺のページや偽サイトへのアクセスを入口で警告・遮断する機能を持ったソフトを入れておくと、そもそもこうした画面にたどり着く機会を減らせます。個人事業主の方や、自宅から仕事に使うパソコンの対策の一例です。家庭向けの製品なので、法人として使う場合はライセンスの条件を事前に確認してください。
まとめ
- ウイルス感染をうたう画面に電話番号が出ていたら、それは偽物。電話はしない
- 再起動しても消えないのは、多くの場合ブラウザが前回のページを開き直しているだけ。パソコンの中に何かが入り込んだとは限らない
- 対処は、Edgeを強制終了 → 起動時の設定を「新しいタブページ」に → 通知の許可を確認の順
- 電話した・ソフトを入れた・カード情報を伝えた場合は、ネットワークから切り離して、すぐに相談
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