インターネットから入手したファイルやメールの添付を開くと、Windowsは「発行元を確認できません」といった警告を出したり、Officeのマクロを止めたりします。外から来たファイルに付く「印」を見て、安全側に動いているからです。この仕組みはダウンロードしたExcelのマクロが動かない・PDFに警告が出るに書きました。
この印の守りを、すり抜けられてしまう脆弱性が見つかりました。Microsoftは2026年10月13日の月例更新で修正し、実際の攻撃に使われていたことも認めています。
やることは難しくありません。10月の更新が、すべてのパソコンに入っているかを確認する。それだけです。ただ、現場で見ていると「更新したつもり」のパソコンは意外と残ります。この記事では、確かめ方を短くまとめます。内容は2026年11月5日の公開時点のものです。
何が起きたのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 脆弱性の番号 | CVE-2026-96951 |
| どの部分か | Windows Shell(ファイルの操作などを担当する部分) |
| 何が起きるか | 外から来たファイルに対する守りが効かなくなる |
| 深刻度 | 10点満点で8.8 |
| 悪用 | 確認済み(Microsoftが認め、米国CISAも10月13日に悪用の一覧へ追加) |
| 修正 | 米国時間10月13日の月例更新。10月26日にEdgeも対象に追加 |
この脆弱性だけで、パソコンが勝手に乗っ取られるわけではありません。Microsoftの説明では、攻撃者は細工したファイルをメールやメッセージで送りつけますが、ファイルを開くよう無理やりさせることはできません。誰かが開いたときに成立します。
報道によると、届く経路にはメール、チャット、ダウンロードのほか、TeamsやSlackのような仕事用のツールも挙げられています。攻撃の詳しい手口は公表されていません。
なぜ会社として気にする必要があるのか
怖いのは、いつもの注意が働かなくなることです。
| 場面 | 修正前の守り | すり抜けられると |
|---|---|---|
| 外から来たファイルを開く | 開く前に警告が出ることがある | 警告が出ないまま開いてしまう |
| Officeのファイルを開く | 読み取り専用の表示で開くことがある | その守りが効かないことがある |
| ファイルを実行する | Windowsが実行を止めることがある | 止まらないことがある |
「警告が出なかったから大丈夫だろう」と考えてしまう人は多いはずです。だから、この件は社員の注意力の問題にしないで、更新で片づけるのが正解です。
確認すること:パソコンの更新
対象はWindows 10、Windows 11、Windows Serverです。確認の手順は次のとおりです。
- キーボードのWindowsキーを押しながらRキーを押す
- 出てきた欄に
winverと入れてEnterキーを押す - 「OSビルド」の数字を、下の表と比べる
| 使っているWindows | これ以上なら修正済み |
|---|---|
| Windows 11 26H2 | 26300.9711 |
| Windows 11 25H2 | 26200.9711 |
| Windows 11 24H2 | 26100.9711 |
| Windows 11 23H2 | 22631.7652 |
| Windows 11 26H1 | 28000.3231 |
| Windows 10 22H2 | 19045.7807 |
表にない版を使っているときは、保守業者に確認してください。数字が小さければ、更新が入っていません。「設定」の「Windows Update」で更新を確認し、再起動まで済ませてください。更新は、再起動して初めて完了するものが多くあります。電源を切らずにスリープだけで使っているパソコンは、更新が途中で止まりがちです。
サーバーは、手順を決めて保守業者に任せてください。Windows Server 2025なら 26100.33650、2022なら 20348.5761、2019なら 17763.9376 が目安です。
もうひとつ:Edgeの更新
10月26日に、Microsoftは対象にEdgeを追加しました。Edgeは、バージョン 154.0.4258.62 以上が修正版です。
Edgeの右上の「…」から「設定」を開き、「Edgeについて」を選ぶと、バージョンの確認と更新ができます。開いたままで何日も閉じていない場合は、一度閉じて開き直してください。
更新が入らないパソコンは、どんなものか
現場でよく問題になるのは、次の4つです。
| パソコン | 起きていること | やること |
|---|---|---|
| 電源を切らない、再起動しない | 更新が「再起動待ち」のまま | 再起動する |
| 更新を止める設定にしている | 止めた理由を誰も覚えていない | 止めっぱなしにしない |
| Windows 10のまま | サポートが終わっていて、延長の対象外なら修正が届かない | 買い替えや移行を決める |
| たまにしか使わないパソコン | 使う日にしか更新されない | 電源を入れて更新する |
特に見落としやすいのは、経理の専用機や、現場の持ち出し用ノートです。毎日使うパソコンだけ見て「全部終わった」としないでください。
更新で業務ソフトが止まるのが心配で止めている場合は、1台で先に試してから広げる形がおすすめです。止めたままにするのが、いちばん危ない選択です。
更新が終わるまで、社内に伝えること
全部のパソコンの更新が終わるまでは、次の3つを社内に伝えておくと安心です。
- 心当たりのないファイルは開かない。警告が出なかったことを、安全の理由にしない
- 急がせるメールや、見覚えのない請求書の添付は、送り主に電話などの別の手段で確かめる
- メールだけでなく、TeamsやSlackなどで届いたファイルも同じように扱う
メールの見分け方はそのメール、本物ですかにまとめています。もし開いてしまったあとに様子がおかしければ、LANケーブルを抜く話のとおり、まず線を抜いて、保守業者に連絡してください。
11月の更新も忘れずに
次の月例更新は、米国時間の11月10日、日本では11月11日の見込みです。Windowsの更新は、新しいものに前の月の修正が含まれる形が基本なので、11月分が入れば10月分も一緒に片づくのが普通です。確認は、上の表の数字以上になっているかどうかで構いません。
毎月の更新を「気づいた人がやる」にしていると、同じことを毎月繰り返します。月に1回、日を決めて、全台の更新が済んでいるかを見る形にしておくと楽になります。
まとめ
- 外から来たファイルへの守りをすり抜ける脆弱性(CVE-2026-96951)が、実際の攻撃に使われていた
- 成立するのは、誰かがファイルを開いたとき。ただし、警告が出ないことがある
- 対策は10月の月例更新。全台の再起動まで確認する
- Edgeも 154.0.4258.62 以上にする
- 再起動していない、更新を止めている、たまにしか使わないパソコンを見落とさない
保守業者に送る文面
そのまま送っていただいてかまいません。
Windowsの脆弱性 CVE-2026-96951(2026年10月の月例更新で修正、悪用が確認済み)について確認させてください。当社のパソコンとサーバーに、10月以降の更新が適用され、再起動まで済んでいるでしょうか。Edgeも 154.0.4258.62 以上になっているでしょうか。適用できていない機器があれば、台数と対応の予定を教えてください。
出典
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