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「取引先からもらったExcelが、うちのパソコンだと動かない」「PDFを選んだだけなのに、問題を起こす可能性がありますと警告が出る」。保守の現場では、こうした相談をときどき受けます。どちらも、ファイルが壊れているわけでも、ウイルスに感染しているとも限りません。
原因は共通していて、Windowsが「このファイルはインターネットやメールなど、外から来たものだ」と判断して、念のため止めていることでした。この記事では、実際に対応した2つの例をもとに、何が起きているのか、どう確かめてどう解除したのか、そして「解除してよいかどうか」をどう判断すればよいかを書きます。
何が起きたか:2つの例
例1:保険会社の計算用Excelのマクロが動かない
あるお客様が、保険会社から入手したサイバー保険の計算用のExcelファイルを開きました。このファイルは、ボタンを押すと自動で計算してくれる「マクロ」という仕組みで作られています。ところが開いてみると、画面の上に赤い帯が出て、「このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」と表示され、計算のボタンが動きませんでした。
例2:PDFを選ぶと、プレビューに警告が出る
別の対応では、エクスプローラー(フォルダの画面)でPDFを選ぶと、右側のプレビューの欄に「プレビューを表示しようとしているファイルは、コンピューターに問題を起こす可能性があります」と出るという相談でした。「問題を起こす」という強い言葉なので、ウイルスではないかと心配になるのは自然なことです。
原因:外から来たファイルには「印」が付いている
Windowsは、インターネットからダウンロードしたファイルや、メールに添付されて届いたファイルなどに、「外から来たファイルです」という目に見えない印を付けています。ファイルの中身とは別に、ファイルに付いて回る情報です。
この印が付いたファイルを開くと、Windowsや Office は念のために安全側に倒した動きをします。例1では、Excelのマクロが自動で止められました。マクロはパソコンの中でいろいろな操作ができてしまうため、出どころが分からないファイルのマクロは、最初から動かさない決まりになっているからです。例2では、エクスプローラーがプレビューの前に確認を求めていました。
| 例1:Excelのマクロ | 例2:PDFのプレビュー | |
|---|---|---|
| 出ていた表示 | 赤い帯「マクロの実行がブロックされました」 | 「コンピューターに問題を起こす可能性があります」 |
| ファイルの出どころ | 保険会社から入手(ダウンロード) | メール・FAX・ダウンロードなど外から来たもの |
| Windowsの判断 | 外から来たファイルなのでマクロを止める | 外から来たファイルなので表示前に確認を求める |
| 解除の方法 | プロパティで「ブロックの解除」 | プロパティで「許可する」 |
大事なのは、この警告は「ファイルがウイルスだ」という意味ではないことです。「外から来たファイルなので、開く前に出どころを確かめてください」という確認の表示です。逆に言えば、知らない相手から届いたファイルでも同じ警告が出ます。だからこそ、解除する前の確認が欠かせません。
現場でやったこと
例1:Excelのマクロのブロックを解除する
まず、ファイルの出どころがはっきりしていること(保険会社から入手した計算用のファイルであること)を確かめました。そのうえで、次の手順で解除しました。
- Excelをいったん閉じる
- そのファイルを右クリックして「プロパティ」を開く
- 「全般」タブのいちばん下にある「ブロックの解除」にチェックを入れて「OK」を押す
- もう一度ファイルを開き、計算のボタンが動くことを確かめる
Excelを開いたまま、赤い帯の「詳細を表示」から「コンテンツの有効化」を押す方法もあります。ただ、私はファイルそのものの印を外す「ブロックの解除」をおすすめしています。1回確認すれば、次からは同じ操作が要らないからです。
なお、プロパティに「ブロックの解除」の欄が出てこないことがあります。その場合は、ファイルがネットワーク上の場所(共有フォルダなど)に置かれている可能性があります。いったん自分のパソコンにコピーしてから確かめると、話が早くなります。
例2:PDFのプレビューの警告
- そのPDFの入手元を確かめる(知らない相手からのメールの添付・FAX・ダウンロードではないか)
- ファイル名の最後が本当に「.pdf」かを確かめる(「.pdf.exe」のようになっていたら開かない)
- ウイルス対策ソフトでそのファイルを検査する
- 問題がなければ、右クリック →「プロパティ」→「全般」タブの下にある「許可する」にチェックを入れて「OK」
- エクスプローラーで選び直して、プレビューが表示されるか確かめる
プレビューにこだわる必要がなければ、エクスプローラーのプレビューの欄をオフにして、PDFはEdgeやAcrobat Readerで開くという方法もあります。警告を毎回無視して開く使い方や、パソコン全体のセキュリティの設定を緩める対応は、おすすめしません。
解除してよいかの判断
この記事でいちばん伝えたいのは、ここです。手順だけを覚えると、届いたファイルを片っ端から解除してしまいかねません。メールに付いてくる偽の請求書やマクロ入りのファイルは、まさに「解除して開いてもらう」ことを狙っています。
| 確認すること | 解除してよい | 解除しない・相談する |
|---|---|---|
| 誰から来たか | 取引先や公式サイトから、自分で入手したもの | 知らない相手、突然届いた添付ファイル |
| 予定していたものか | 使う予定があって取り寄せたもの | 心当たりのない請求書・通知 |
| ファイル名 | 拡張子が見た目どおり | 「.pdf.exe」など二重の拡張子 |
| 本文の促し方 | 特に促しはない | 「マクロを有効にしてください」と急がせる |
右側に1つでも当てはまるなら、解除せずに相談してください。見分け方はそのメール、本物ですか|フィッシングを現場でどう見分けているかにまとめています。
同じことを防ぐために
- 「警告が出たら、まず出どころを確かめる」を社内の決まりにする。解除の手順より先に、この一文を共有しておく
- よく使う取引先のファイルは、置き場所を決める。毎回ダウンロードし直すたびに印が付くので、確認済みのものを決まった場所に置いておくと迷いません
- ウイルス対策ソフトの検査を習慣にする。気になるファイルは右クリックから検査できます
- 分からないときは開かずに聞く。おかしな画面が出たときの対応はサポート詐欺の対処の記事にも書いています
(PR)届いたファイルを検査できるセキュリティソフト
この記事で書いたとおり、ファイルの警告を解除してよいかを決めるのは、最後は人の確認です。ソフトを入れれば怪しいファイルをすべて防げる、というものではありません。そのうえで、気になるファイルをその場で検査できるセキュリティソフトがあると、確認の手間が減ります。個人事業主の方や、自宅から仕事に使うパソコンの対策の一例です。家庭向けの製品なので、法人として使う場合はライセンスの条件を事前に確認してください。
まとめ
- ダウンロードやメールで届いたファイルには、Windowsが「外から来た」という印を付けている
- Excelのマクロが止まる、PDFのプレビューに警告が出るのは、この印による確認の表示で、ウイルスという意味ではない
- 解除はプロパティの「ブロックの解除」「許可する」。欄が出ないときはネットワーク上の場所に置かれていないか確認
- ただし解除の前に出どころを確かめる。知らない相手・心当たりのないファイルは解除しない
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