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「ネットが遅いので、IPv6(IPoE)に切り替えました。確かに速くなったんですが、今度は1日に何回か切れるようになって……」
速さの悩みが消えたと思ったら、別の悩みが出てくる。事務所の回線ではよくある流れです。この記事では、あるお客様の事務所で「遅い」と「切れる」の両方に対応した事例をもとに、どこから疑うかと、切れ方で原因を見分ける方法を書きます。
最初の相談:とにかくネットが遅い
そのお客様の事務所は、次のようなつなぎ方になっていました。
光回線の終端装置(ONU) → ハブ → ビジネスホン(ひかり電話)と、UTM(SonicWall)
ONUのすぐ下にハブを置き、そこから電話機とUTMの両方に分けている形です。社内のパソコンはUTMの下につながっています。相談の内容は「とにかくネットが遅い」でした。
遅さの原因として疑ったもの
この構成で遅いときに疑ったのは、次の4つです。
| 疑ったところ | 何が起きるか |
|---|---|
| ONUのすぐ下のハブ | ハブが100Mbpsまでの古い製品や処理能力の低い製品だと、回線がいくら速くてもそこで頭打ちになる |
| ひかり電話側の通信 | 電話機向けの通信がハブを通って不要なところまで流れ、帯域を圧迫する |
| UTMの設定 | ウイルス検査や通信の中身の検査をすべて有効にしていると、UTMの処理が追いつかず遅くなる |
| PPPoEの混雑 | 従来の接続方式(PPPoE)は、利用者が多い時間帯に混雑して遅くなりやすい |
いちばん安く効くのは、ONUの下のハブを見直すこと
この4つのうち、私が現場で最初に見るのはハブです。ONUのすぐ下のハブを外す、または1Gbpsに対応したしっかりした製品に交換するだけで改善するケースが多く、いちばん安くて効果の大きい対処だからです。
ハブは一度置くと、何年もそのまま使われ続けます。回線は1Gbpsの契約に変えたのに、途中のハブが10年前の100Mbpsの製品のまま、ということは珍しくありません。ハブの型番を確認し、差し込み口のランプの色(多くの製品で、つながっている速さによって色が変わります)を見れば、そこで速度が落ちているかどうかの見当がつきます。
3か所で測って、どこで遅くなっているかを分ける
原因を1か所に決めつけないために、速度は次の3か所で測り比べます。
- ONUのすぐ下にパソコンを直接つないで測る(回線そのものの速さ)
- UTMの外側(WAN側)に直接つないだ状態で測る(ハブを通った後の速さ)
- UTMの内側(社内のLAN)で測る(普段の使い方での速さ)
1で速いのに2で遅ければハブ、2で速いのに3で遅ければUTM、1の時点で遅ければ回線や事業者側、と切り分けられます。さらに、夜だけ遅いならPPPoEの混雑を疑い、IPoEに対応した契約への切り替えを検討します。回線の遅さ全般の切り分けは、事務所のネットが遅いときの切り分け手順にも書きました。
IPv6(IPoE)で速くなった。でも、1日に数回切れる
このお客様はIPv6(IPoE)の方式に切り替え、速度は改善しました。混雑しやすいPPPoEを通らなくなったからです。ところが今度は、1日に数回、インターネットが切れるようになりました。
IPoEに切り替えたあとの断線は、原因の候補がいくつかあります。
| 原因の候補 | どういうことか | 対処 |
|---|---|---|
| 古いPPPoEの設定が残っている | ルーターの中で新旧の設定がぶつかる | 使わなくなったPPPoEの設定をルーターから完全に消す |
| アドレスの更新に失敗している | IPv6のアドレスを定期的に更新する処理がうまくいかない | ONUやホームゲートウェイのファームウェアを最新にする |
| 通信の同時接続数が足りない | IPoEの方式によっては、同時に使える通信の数(ポート)に上限がある | 社内の台数が多い場合は、上限の影響を受けにくい方式の事業者を検討する |
| 通信の単位の設定が合っていない | ルーターのMTUやMSSの値が方式に合っていない | 方式や事業者の案内に合わせて設定する |
3つ目の同時接続数は、見落とされやすい点です。IPoEの方式のひとつである「MAP-E」は、利用者ごとに使える通信の数(ポート)が限られていて、目安は約240と言われます。パソコンが数台なら問題になりにくいのですが、社内の台数が多く、それぞれがブラウザで多くのページを開いたりクラウドのサービスを使ったりすると、上限に達して通信できなくなることがあります。その場合は、この上限の影響を受けにくい「DS-Lite」方式の事業者に変えることも選択肢になります。
MTUやMSSといった設定値は、方式や事業者、機器によって適切な値が違います。ネットで見かけた数字をそのまま入れるのではなく、契約している事業者や機器の案内に合わせるのが安全です。
切れ方で、原因を見分ける
候補が多いときに役立つのが、いつ切れるかの記録です。このお客様でも、切れた時刻を控えてもらいました。
| 切れ方 | 疑うもの |
|---|---|
| 数時間ごとなど、規則的に切れる | アドレスの更新の失敗 |
| 業務時間中、特に皆が使う時間帯に集中して切れる | 同時接続数(ポート)やセッションの枯渇 |
| 切り替えた直後から、時間に関係なく切れる | 古いPPPoEの設定との競合、MTU・MSSの不整合 |
「切れた」という連絡だけでは、原因の見当がつきません。何時何分に切れて、何分で戻ったかを数回分メモしてもらうだけで、切り分けの速さがまったく変わります。ルーターやUTMのログに切断の記録が残る機種であれば、それも合わせて見ます。
同じことで困らないために
- 回線を速い契約に変えたら、途中の機器も確認する。特にONUのすぐ下のハブは、古いまま残りやすい
- IPoEに切り替えたら、古いPPPoEの設定を消す。「念のため残しておく」が、あとで断線の原因になることがある
- 社内の台数が多いなら、方式の違いを確認してから契約する。MAP-EかDS-Liteかで、同時接続数の上限の影響が変わる
- 切れたら時刻をメモする。それだけで原因の見当がつきやすくなる
(PR)回線そのものを見直す場合
ハブや設定を見直しても改善しない場合や、夜間の混雑がどうしても解消しない場合は、回線やプロバイダの契約そのものを見直すことになります。乗り換え先を比べるときの一例として挙げておきます。申し込む前に、IPv6(IPoE)に対応しているか、方式はMAP-EかDS-Liteか、今の契約の違約金と工事の要否を必ず確認してください。
まとめ
- 事務所のネットが遅いとき、最初に疑うのはONUのすぐ下のハブ。交換するだけで直ることが多く、いちばん安い
- 速度は3か所(ONU直下・UTMの外・社内)で測り比べて、どこで遅くなっているかを分ける
- IPoEに切り替えて切れるようになったら、古いPPPoEの設定・アドレスの更新・同時接続数・MTUとMSSを疑う
- 切れた時刻を記録すると、規則的か、業務時間に集中しているかで原因の見当がつく
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