「パソコンが重い」と言われたとき、現場で最初に確かめること|データの量のせいではない

パソコン・機器

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「パソコンが重いんです」という相談は、保守の仕事でいちばん多い相談のひとつです。そして、そのときお客様の多くが口にするのが「データをたくさん入れているから重いんですよね」という言葉です。

気持ちはよく分かります。机の上に書類が積み上がれば仕事がしにくくなるのと同じように、パソコンの中にファイルが増えれば動きが鈍くなる、と考えるのは自然です。ただ、今のパソコンに限っていえば、データの量が重さの原因になっていることはほとんどありません。

この記事では、「重い」と言われたときに私が現場で実際に確かめていることと、最終的に買い替えを勧めることが多い理由を書きます。

「データが多いから重い」は、ほぼ誤解です

今どきのHDDやSSDは容量が大きく、書類や写真が多少増えたくらいでは中身がいっぱいになりません。そして、保存しているだけのファイルは、開かない限りパソコンの動きにほとんど影響しません。倉庫に段ボールが増えても、事務所の机の上が狭くなるわけではないのと同じです。

ですから私は、まず「データがたくさんあるから重い、というわけではないんですよ」とお伝えするところから始めます。ここを最初に外しておかないと、「じゃあファイルを整理すれば速くなる」と考えて、休日にファイルの削除や移動に何時間も使ってしまい、それでも何も変わらない、ということが起きるからです。

ひとつだけ例外があります。Cドライブの空きが極端に少ない場合です。空きが残り数GBといった状態になると、Windowsの更新や一時ファイルの置き場がなくなり、動作が不安定になることがあります。これは「データが多いから重い」というより「置き場所がない」という別の問題なので、空き容量だけは最初に確認します。

実際に重さの原因になっていること

では何が原因なのか。現場で確かめていくと、たいていは次の3つのどれか、または組み合わせです。

原因どういうことかソフトの操作で改善できるか
CPUの世代が古いパソコンの頭脳にあたる部品が、今のWindowsやソフトの重さに追いついていないできない
メモリが足りない昔は8GBで十分だったが、Windows 11と今の業務ソフトでは少し足りないできない(増設できる機種なら改善)
常駐ソフトが多い起動と同時に動き出し、裏で動き続けるソフトが積み重なっているできる

表を見ると分かるとおり、3つのうちソフトの操作で改善できるのは常駐ソフトだけです。CPUの世代とメモリの量は部品そのものの話なので、設定をいくら見直しても変わりません。この違いが、あとで書く「結局は買い替えを勧める」理由につながります。

メモリは「8GBで足りていた時代」の感覚が残っている

数年前までは、事務用のパソコンならメモリは8GBあれば十分でした。その感覚のまま買ったパソコンを、Windows 11に上げて使い続けているケースがよくあります。Windows 11そのものに加えて、ブラウザでタブを何枚も開き、Teamsやチャット、業務ソフトを同時に動かすと、8GBでは少々足りなくなります。

メモリが足りなくなると、Windowsはディスクを仮のメモリとして使い始めます。ディスクはメモリよりずっと遅いので、画面の切り替えやソフトの起動が目に見えて遅くなります。「急に固まる」「クリックしてから数秒待たされる」という症状は、このパターンが多いです。

現場で確かめる順番

訪問したときは、次の順番で見ていきます。特別な道具は使いません。Windowsに最初から入っているタスクマネージャーで、ほとんど判断できます。

順番見るところ判断の目安
1Cドライブの空き容量空きが極端に少なければ、まずここを片付ける
2CPUの型番と世代古い世代なら、この時点で買い替えの候補
3メモリの量と使用率普段の作業中に使用率が常に8割を超えるなら不足
4起動ドライブの種類HDDのままなら、それだけで起動や動作が大きく遅い
5スタートアップ(常駐ソフト)の一覧使っていないソフトが並んでいないか、本人と一緒に確認

メモリの使用率は、パソコンを立ち上げた直後ではなく、普段どおりに仕事をしている状態で見るのがコツです。朝いちばんの何も開いていない状態では余裕があるように見えても、昼過ぎにいつものソフトを全部開くと足りなくなっている、ということがよくあります。

常駐ソフトは、本人に見てもらいながら止める

常駐ソフトの整理は、ソフトの操作だけで効果が出る唯一の対処です。ただし私は、一覧を本人に見てもらいながら、ひとつずつ確認して止めるようにしています。こちらの判断だけで一気に止めることはしません。

理由は3つあります。

  1. 何を使っているかは本人しか知らない。見慣れない名前のソフトが、実は取引先とのやり取りに毎月1回だけ使うものだった、ということがあります。
  2. 業務ソフトの更新や連携のために常駐しているものがある。これを止めると、しばらくしてから「データが送れない」「更新が来ない」という別のトラブルになります。
  3. 本人が理由を分かっていると、あとで困らない。「何か止められてから調子が悪い」という不安が残らず、必要になったときに自分で戻すこともできます。

常駐ソフトを整理すると、起動直後の動きは確かに少し軽くなります。ただ、正直にお伝えすると、体感が劇的に変わることは多くありません。原因の中心がCPUやメモリにある場合、常駐ソフトを減らしても根本は変わらないからです。

結局、買い替えを勧めることが多い理由

ここまで確かめると、多くの場合は「CPUが古い」「メモリが足りない」のどちらか、または両方に行き着きます。そして、この2つはパソコンそのものを替えない限り解決しません。私が最終的に、パソコン自体を入れ替えたほうがよい、という流れでお話しすることが多いのはこのためです。

もうひとつ、時期の問題もあります。Windows 10のサポートは2025年10月に終了しました。Windows 11には動作に必要なCPUの条件があり、古い世代のCPUを載せたパソコンは、そもそも正式にはWindows 11に対応していません。重さの相談をきっかけに調べてみたら、そのパソコンは更新の対象外だった、ということもあります。

買い替えではなく、メモリの増設で済むこともある

すべてが買い替えになるわけではありません。CPUが比較的新しく、原因がメモリ不足だけで、機種がメモリを増設できる作りであれば、増設で十分に延命できます。デスクトップ型で空きスロットがある場合は、特に効果が出やすいです。

一方、最近の薄型ノートパソコンはメモリが基板に直接付いていて、あとから増やせないものが多くあります。この場合は増設という選択肢自体がありません。

買い替えるなら、ここだけは外さない

  • メモリは16GB以上。8GBの機種は、数年後にまた同じ相談になります
  • 起動ドライブはSSD。今の新品はほぼSSDですが、安い中古品にはHDDのものが残っています
  • Windows 11に正式対応したCPU。中古品を選ぶときは必ず確認します

台数がまとまる場合は購入よりリースのほうが扱いやすいこともありますし、現場で使う端末であれば中古品を選ぶこともあります。この分け方については、会社のパソコンは新品・リース・中古のどれにするかで詳しく書いています。

(PR)予算を抑えて入れ替えるときの一例

新品の仕入れ値が上がっているので、予算を抑えたい場合は中古の再生パソコンも選択肢になります。その場合も、本文の「買い替えるなら、ここだけは外さない」の3点(メモリ16GB以上・SSD・Windows 11に正式対応したCPU)で絞り込んでください。安さを優先して8GBの機種を選ぶと、数年後にまた同じ相談になります。

まとめ

  • 今のパソコンでは、データの量が重さの原因になっていることはほとんどない(Cドライブの空きが極端に少ない場合だけは例外)
  • 実際の原因は、CPUの世代・メモリ不足・常駐ソフトのどれかであることが多い
  • このうちソフトの操作で改善できるのは常駐ソフトだけ。止めるときは本人に見てもらいながらひとつずつ
  • CPUとメモリが原因なら、根本的にはパソコンの入れ替えが必要。条件が合えばメモリ増設で延命できる

「重い」と感じたら、ファイルの整理に時間を使う前に、まずタスクマネージャーでメモリの使用率を見てみてください。原因がどこにあるのか、それだけでかなり見当がつきます。

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