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去年、お客様から「事務所のネットが遅い」という相談を受けました。結論から書くと、最終的にプロバイダを変えて解決しました。機器の交換では直らなかった案件です。
「遅いならルーターを買い替えればいい」と思われがちですが、そこが原因でないことは珍しくありません。先に数万円かけて機器を替えて、何も変わらなかった——という会社を何度も見ています。
お金をかける前に、どこが遅いのかを切り分ける手順を書きます。全部やっても30分かかりません。
「遅い」の中身を分ける
まず、社内から出てくる「遅い」を具体化します。ここを飛ばすと、見当違いのところを触ることになります。
| 症状 | 疑うところ |
|---|---|
| 特定の1台だけ遅い | そのパソコン本体 |
| 無線だけ遅い。有線は問題ない | Wi-Fiの電波・ルーター |
| 有線でも遅い | 回線かプロバイダ |
| 夕方から夜だけ極端に遅い | プロバイダの混雑 |
| 特定のサービスだけ遅い | 相手側、またはクラウド側 |
| ときどき切れる | 機器の発熱・接続台数・ケーブル |
「全部遅い」なのか「一部だけ遅い」なのかで、原因はまったく別物になります。
訪問前に、電話で聞いておくこと
私が現地に行く前に確認するのは、この5つです。答えを聞いた時点で、だいたいの見当がつきます。
- いつから遅いか(急に、か。だんだん、か)
- 時間帯による差はあるか(朝は普通で夕方から遅い、など)
- 有線でも遅いか(1台でいいので、LANケーブルで直結して試してもらう)
- 全員が遅いか、特定の人だけか
- 最近、何か変えたか(機器追加、席替え、人数増、ソフト導入)
「急に、全員が、有線でも遅くなった」なら回線側の可能性が高い。「だんだん、無線の人だけ」ならWi-Fi環境の話です。電話の5分で、行く前に半分は絞れます。
測るときのコツ
速度測定サイトで測る場合、1回だけ測っても意味がありません。条件をそろえて、複数回測ります。
- 同じ端末・同じ場所で測る
- 朝と夜、最低2回測る(時間帯による差を見るため)
- 有線と無線の両方で測る(差があればWi-Fi側の問題)
- 結果はスクリーンショットで残す(あとで事業者に相談するときの材料になります)
とくに朝と夜の差は重要です。朝は速いのに夜だけ極端に落ちるなら、機器を替えても直りません。
切り分けの順番
| 順 | 試すこと | 速くなったら |
|---|---|---|
| 1 | ルーターとONU(回線終端装置)を再起動する | 一時的な不調。しばらく様子を見る |
| 2 | ルーターのすぐ横で無線を測る | 電波の届き方の問題。置き場所か中継 |
| 3 | LANケーブルで直結して測る | Wi-Fi側の問題。有線が速ければルーター |
| 4 | 有線でも遅い | 回線かプロバイダ。機器では直らない |
| 5 | 時間帯で差が出るか見る | 夜だけ遅ければ混雑。乗り換えを検討 |
4番まで来たら、機器にお金をかけるのはやめたほうがいいと私は判断します。
ルーターを替えても直らない理由
ルーターは「契約している速度を、社内に配る」機器です。契約している側が細ければ、どんなに良いルーターを買っても、それ以上にはなりません。
もちろん、ルーターが原因のこともあります。次のような場合は交換に意味があります。
- 購入から7〜8年以上たっている
- 接続台数が増えて、同時接続の上限に近づいている
- 有線は速いのに、無線だけ極端に遅い
- 本体が熱を持っていて、夕方によく切れる
逆に、有線でも遅く、時間帯で差が出るなら、機器の話ではありません。
プロバイダを変えて解決した話
冒頭の案件が、まさにこれでした。
機器側をひととおり見ても改善せず、有線でも遅い状態が続いていました。最終的にプロバイダを変更したところ、速度が改善しました。
ここで知っておいてほしいのは、「回線」と「プロバイダ」は別の契約だということです。混同されがちですが、光回線そのものはそのままで、プロバイダだけを変えられる場合があります。この場合、工事なしで乗り換えられることもあります。
「遅いから光回線を引き直さないといけない」と思い込んで、何年もそのままにしている会社は多いです。まず自社がどういう契約になっているかを確認するところからです。
乗り換えるときに確認すること
- 契約期間のしばりと違約金:今の契約にいくら残っているか。ここを見ずに動くと損をします
- 工事が必要か:不要なら切り替えは早い。必要なら日程調整が要ります
- メールアドレスが変わるか:プロバイダのメールを業務で使っている場合、これが最大の障害になります。独自ドメインのメールに移しておくと、以後こういう縛りから解放されます
- 固定IPが必要か:VPNや外部からのアクセスに使っている場合は要確認
- 切り替え当日の不通時間:業務が止まる時間帯を先に決めておく
とくにプロバイダのメールアドレスは要注意です。「@〜.ne.jp」を名刺やお客様との連絡に使っていると、乗り換えるたびに全部変えることになります。この機会に独自ドメインへ移しておくことをおすすめします。
(PR)乗り換え先を比べるときの一例
小規模な事務所では、家庭向けの光回線をそのまま使っていることが少なくありません。乗り換え先を比べるときの一例として挙げておきます。申し込む前に、IPv6(IPoE)に対応しているか、今の回線の違約金がいくら残っているか、屋内工事が必要かどうかの3点は必ず確認してください。業務で使う回線を止める作業になるので、切り替え日は業務の少ない日に寄せます。
また、契約期間のしばりがない回線もあります。本文の「乗り換えるときに確認すること」で書いた違約金の心配を、次に乗り換えるときに持ち越したくない場合の一例です。こちらも、IPv6(IPoE)への対応と工事の要否は申し込む前に確認してください。
まとめ
- 「遅い」を有線/無線・時間帯・全員/一部で分ける
- 有線でも遅く、夜だけ落ちるなら、機器を替えても直らない
- ルーター交換に意味があるのは、古い・台数が多い・無線だけ遅い・熱で切れるとき
- 回線とプロバイダは別の契約。工事なしで変えられる場合がある
- 乗り換え前にしばり・工事・メールアドレス・固定IPを確認する
機器を買う前に、まずLANケーブルで直結して、朝と夜に測る。それだけで、無駄な出費をかなり防げます。
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