Outlookで送受信できなくなった|メールの保存ファイルがOneDriveの中にありました

社内の仕組み

「Outlookでメールの送受信ができなくなった。設定を見てもよく分からないし、パスワードを聞かれるけれど、どのパスワードか分からない」。POPという方式でメールを受け取っている会社で、ときどき受ける相談です。

この症状でよく原因になっているのが、Outlookのメールを保存しているファイル(データファイル)が、OneDriveの同期フォルダの中に置かれていることです。この記事では、実際にどんな状態になるのか、現場でどう直しているのか、そして「パスワードを聞かれたときに入れてはいけないもの」まで含めて書きます。

何が起きたか:送受信ができず、受信先の欄が空になっている

このとき見られた状態は、次の3つでした。

  • Outlookで送受信ができず、エラーが出る
  • アカウントの設定画面で、メールの受信先を示す「フォルダーの変更」の場所が空欄になっている
  • データファイルを追加しようとすると、パスワードを求められる

POPという方式では、メールはサーバーから自分のパソコンに取り込まれ、パソコンの中の1つのファイル(拡張子が「.pst」のファイル。以下、PSTファイルと書きます)に保存されます。過去のメールも、受信トレイも、すべてこのファイルの中です。「フォルダーの変更」の欄が空になっているのは、Outlookが、受け取ったメールをどのファイルに入れればいいのか見失っている状態です。受け取り先が分からないので、送受信が止まってしまいます。

原因:PSTファイルがOneDriveの中にあった

Outlookがファイルを見失う原因として、私が最も疑うのはPSTファイルがOneDriveの同期フォルダの中にあるケースです。Windowsの初期設定によっては「ドキュメント」フォルダがOneDriveの中に置かれ、OutlookのPSTファイルもいつの間にかそこに作られていることがあります。

OneDriveは、フォルダの中身をインターネット上に自動で同期する仕組みです。一方、PSTファイルはOutlookを開いている間ずっと使われ続け、少しずつ書き換えられる大きなファイルです。この2つは相性がよくありません。OneDriveの同期のタイミングとぶつかったり、OneDriveの連携をやめたり、フォルダの場所が変わったりすると、Outlookが記憶している場所にファイルがなくなり、見失ってしまいます。

PSTファイルがOneDriveの中にあると起きやすいことどうなるか
同期とのぶつかり同期の競合が起き、更新がうまく反映されない
ファイルが使用中のまま固定されるOutlookや同期が止まる
ファイルの破損過去のメールが読めなくなるおそれ
Outlookが起動しない仕事のメールが一切見られない
送受信のエラー今回のように、受け取り先を見失う

これは一度きりの話ではありません。最近も、まったく別の件で対応したお客様のパソコンで、OutlookのPSTファイルがOneDriveの同期フォルダの中にあるのを見つけ、あとで場所を移すことをおすすめしました。症状が出ていなくても、置き場所だけ見ると危ない状態のパソコンは珍しくないのです。

現場でやったこと

基本の考え方は、「今まで使っていたPSTファイルを探し出し、OneDriveの外に移して、Outlookに改めてつなぎ直す」です。新しいファイルを作り直すのではありません。

  1. Outlookを完全に終了する。閉じたあと、タスクマネージャーでOutlookが残っていないことも確かめる
  2. PSTファイルを探す。OneDriveのフォルダ、OneDriveの中の「ドキュメント」、パソコン本体の「ドキュメント」を順に見て、それでもなければパソコン全体を「*.pst」で検索する
  3. どれが本物かを大きさで見分ける。数百MBから数GBあるファイルが、これまでのメールが入った本命である可能性が高い。数KB〜数MBの小さなファイルは、空のものや新しく作られたものの可能性がある
  4. 念のためコピーを取ってから、OneDriveの外に移す。移す先は、パソコン本体の「ドキュメント」の中の「Outlook Files」フォルダのような、同期されない場所にする
  5. Outlookでつなぎ直す。Outlookを起動し、「ファイル」→「アカウント設定」→「データファイル」タブ →「追加」で移したPSTファイルを選び、「既定に設定」を押してからOutlookを再起動する
  6. 受け取り先を確かめる。「アカウント設定」の「メール」タブで対象のアカウントを選び、「フォルダーの変更」に受信トレイと移したPSTファイルの名前が表示されていることを確かめる
  7. 送受信の試験をする。エラーが消えたか、テストのメールを送って受け取れるかを確かめる

ここでいちばん気をつけたいのは手順3です。小さな新しいPSTファイルを間違えて「既定」にすると、過去のメールが全部消えたように見えます。実際にはファイルが残っていれば取り戻せますが、見た目は大事件です。PSTファイルさえ残っていれば、メールが失われる心配は小さいので、慌てずに大きさを見て判断します。

パスワードを聞かれたら、入れるのはどれか

この作業の途中でパスワードを求められると、多くの方が手を止めます。パソコンには、いくつもの種類のパスワードがあるからです。この場面で求められているのは、メールサーバーに入るためのパスワードである可能性が高いです。

入れるもの入れないもの
そのメールアドレスの受信・送信用のパスワードWindowsにサインインするパスワード
メールサーバーの管理画面で設定されているメールのパスワードMicrosoftアカウントのパスワード
OneDriveのパスワード

正しいメールのパスワードを入れても通らない場合は、パソコンに古いパスワードが記憶されたままになっていることがあります。そのときは、コントロールパネルの「資格情報マネージャー」→「Windows資格情報」で、メールやOutlookに関係する古い記録を削除し、Outlookを再起動してから正しいパスワードを入れ直します。メールのパスワード自体が分からない場合は、メールサーバーの管理画面で確認するか、再設定します。

同じことを防ぐために

  • OutlookのPSTファイルは、OneDriveの同期の対象から外す。今は症状がなくても、置き場所だけは一度確かめておく
  • PSTファイルのバックアップは、同期ではなく「別の場所に保存する」運用にする。外付けのディスクやNASに定期的にコピーする。同期は「壊れたファイルもそのまま同期される」ので、バックアップの代わりにはなりません
  • メールのパスワードを、会社として控えておく。担当者しか知らない状態だと、こういうときに作業が止まります

OneDriveの連携をやめたときに起きる別の困りごとは、OneDriveをやめたら、デスクトップのアイコンが全部消えたに書きました。POPで複数台が受信している場合の落とし穴は同じアドレスなのに、片方のパソコンにだけメールが届かないを、同期とバックアップの違いはバックアップが「あるのに使えない」3つの型を参考にしてください。

まとめ

  • POPのOutlookでは、メールはパソコンの中の1つのファイル(PSTファイル)に保存されている
  • 「フォルダーの変更」の欄が空なら、Outlookがそのファイルを見失っている
  • PSTファイルがOneDriveの同期フォルダの中にあると、見失いや破損が起きやすい
  • 直し方は、本物のPSTファイルを大きさで見つけ、コピーを取ってOneDriveの外に移し、つなぎ直す
  • 聞かれるのはメールのパスワード。WindowsやMicrosoftアカウントのパスワードではない

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